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御殿場・暴れん坊ガールの乗馬体験記 前編ファナウステーブルではじめの一歩

御殿場・暴れん坊ガールの乗馬体験記 前編ファナウステーブルではじめの一歩

「パッパカパッパカパッパカパッパカ・・・」
「暴れん坊将軍!」
「ジャジャジャーン!ジャ、ジャ、ジャ、ジャーーーーン!」

これは、江戸幕府第8代将軍徳川吉宗の活躍を描いた時代劇『暴れん坊将軍』のオープニングの冒頭のシーン。幼い頃なぜかこの時代劇が大好きでよく観ていたのですが、徳川吉宗が白馬にまたがり富士山を背に駆け抜けるこのオープニングは、とくに強く印象に残っていました。それから約30年の時を経て、富士山の麓の街・御殿場で乗馬が盛んであることを知り、大人になったマツモトは閃きます。

「私も、上様(劇中での徳川吉宗の呼び名)のように富士山の麓を馬に乗って駆け抜けてみたい!」

閃いたら最後、実行に移さないと気が済まない性分のマツモトは、さっそく御殿場市内にある2つの乗馬クラブの門を叩き、「乗馬」という未知なるスポーツの世界へ足を踏み入れました。ここでは、そんな暴れん坊ガールが乗馬に初挑戦する模様を、前後編にわたってお届けします!

ところで富士山の麓に広がる広大な土地と冷涼な気候に恵まれた御殿場市には、日本オリンピック委員会のNTC競技別強化拠点施設に指定されている「御殿場市馬術・スポーツセンター」をはじめ、市内に10箇所もの乗馬関連施設があります(乗馬関連施設の情報はこちら)。本格的な馬術を習得できる施設が多い傾向ですが、ホーストレッキングやホースセラピーなど、レジャー向けの体験プログラムを用意している乗馬クラブもあります。

そんな中から、今回は乗馬クラブ「ファナウステーブル」で乗馬の基本のキを教わりました。

ニュージ―ランド仕込みの本格派クラブに入門


今回お世話になった「ファナウステーブル」は、2014年にニュージーランドからここ御殿場に拠点を移した西塚建二さんとメグさんが営む、御殿場市内でもっとも新しい乗馬クラブです。馬術競技のレッスンも受けられる本格的なクラブなので、最初、まったくの乗馬未経験者であるマツモトはとても緊張していたのですが、建二さんとメグさんの優しい笑顔に迎えられ、ほっとひと安心。まずは事務所のなかで説明を受けるところからスタートです。

右から、代表の西塚建二さん、コウエイスマイル、西塚メグさん。建二さんは、ニュージーランドで10年間、競技馬の生産や育成、初期調教を行っていて、手掛けた馬が数々の大会で優秀な成績を収めていたそう。ここ御殿場でも、乗馬のレッスンをしながらブリーダーとしても活躍中。

はやる気持ちを抑え、まずは事前レクチャーから


馬に乗る前に、まずは事務所で簡単なレクチャーを受けます。

ちなみに乗馬には、大きく分けると「ブリティッシュスタイル」と「ウェスタンスタイル」という2つのスタイルがあって、サドルそのものだったり、手綱の持ち方などの乗り方だったりが違うそう。建二さんとメグさんはブリティッシュスタイルが主流のニュージーランドで経験を積んできているので、ファナウステーブルはもちろんブリティッシュスタイル。ということで、私もちょっと上品に見えるように白いポロシャツを新調してきました。

体験乗馬の説明をひととおり聞いた後、誓約書にサインをして、いよいよ屋外の馬場へ向かいます。

安全&素敵な乗馬スタイルとは?


ヨーロッパ発祥のブリティッシュスタイルでは、上品かつ動きやすいコーディネートにまとめるのがCOOLとされます。具体的には、ヘルメット、襟付きのトップス、タイトで動きやすいパンツ(もちろんシャツはイン)、ヒール付きのロングブーツまたはチャップス&ショートブーツという組み合わせがベスト。

加えて、乗馬用エアバッグベストを揃えれば完璧です。ビギナーマツモトは、ポロシャツ、ストレッチの効いたデニムパンツ、スニーカーを持参し、ヘルメットとエアバックベストはクラブのものをお借りしました。バッチリ決まっているメグさんの恰好を見て、チャップス&ブーツがたまらなく欲しくなってしまいました。

乗馬用のパンツはストレッチが効いていて、モモ内側にこのような滑り止めが付いていたしりします。
チャップスのストラップが引っ掛かかるように、ヒール付きのブーツを選ぶのがベター。最初のうちは、動きやすいスニーカーでも良いそうです。

不安と期待を馬の背中に乗せて、いざ!


細い道を挟んだ事務所の向かい側に、ファナウステーブル専用の馬場が広がります。その馬場のなかに、チョコレート色で額に白いブチが入ったイケメンが一頭。このコウエイスマイルが、私の乗馬デビューに付き合っていただくお馬です。

脚立に乗り、コウエイ氏のたてがみを左手で掴みながら「よいしょっ」と乗り上げたら、一気に視界が変わりました。両側のあぶみに足を乗せ、手綱を握り、エアバックベストとサドルを繋げば準備完了。建二さんに、進み方、止まり方、曲がり方など超基本的な動作を教わりました。
教わったとおり、頭、肩、腰、足が一直線上になるイメージで座ったつもりでしたが、写真で改めて見てみると、腰が後傾していてイマイチですねえ・・・。

速歩にも挑戦! がしかし!


建二さんの引き綱に繋がれた状態で、馬場のなかをゆっくり歩きながら進んだり、止まったりと動きの練習。この歩いている状態を「常歩(なみあし)」、ジョギング程度の走りを「速歩(はやあし)」、よりスピードに乗った走りを「駆歩(かけあし)」、そして全力疾走を「襲歩(しゅうほ)」と言うそうです。

暴れん坊将軍のオープニングの走りはおそらく襲歩なのですが、速歩の段階で前につんのめってアタフタしてしまう私。・・・まだまだ先は長いですね。

速歩のとき、一歩おきにお尻をアップダウンさせて自分と馬の双方への負担を軽減する「軽速歩」にも挑戦。進んでいるときに立ち上がろうとすると、足が前に振れてバランスを崩してしまう始末。とほほ。

メグさんのお手本の軽速歩。頭からカカトまで、一本の線が垂直に伸びているような美しい立ち姿に感動! 猛烈に気品を感じます。

20分間、辛抱し続けたコウエイ氏に大感謝


あっという間に馬場での20分間が終了。軽速歩のコツがまだ全然ピンときていない段階でしたが、体験コースは残念ながらここまで。バランスがうまく取れず、お馬の上でグラグラ揺れていた私を乗せながら歩いたり走ったりしたコウエイ氏は、さぞかし辛かったことでしょう。最後に、首まわりを手のひらで「バンバン」と叩き、感謝の気持ちを伝えます。

聞くところによると、馬はとても賢い動物で、乗り手の気持ちを敏感に感じ取ってしまうんだそうです。優柔不断な私の心も見透かされていたから、うまく乗れなかったのかもしれない・・・。乗馬の経験を重ねて、「こうしたい」という意思をハッキリ伝えて、スマートに走れるようになりたいものです。上様のように。

コウエイ氏、ありがとう!

終わった後は、特製ジュースを勢いよく飲みながら、水のシャワーを浴びていたコウエイ氏。20分足らずの時間だったけれど、すでに愛着が湧き始めました。
ファナウステーブルで育成されている馬の栄養管理表。馬ごとに、エサの種類と量が細かく決められていました。このような緻密な育成によって、速くて逞しい競走馬が生まれるのですね。

DATA

ファナウステーブル
WEB:http://whanaustable.com
住所:静岡県御殿場市古沢345-1
Tel.0550-78-7745
定休日:火曜日

マツモトマキ
フリーランスライター。幼いころからスポーツが好きなアクティブ派で、最近ハマっているのはスキー。そして新しい趣味として、乗馬にもハマりそうな予感。

写真:蟹由香
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